◆『かもしれない』MV監督インタビュー 続
ふ:なぜ映像の道にいこうと思ったの?
リ:そもそも僕は絵の道で食べていきたいと思っていたんですよね。
ふ:そうなんだ!
リ:デザイン学校に通ってたんですけど、たまたま学校の授業でチームで映像を作る機会があって、CMを作って。その時に、これ面白いなって思ったんですよね。今見たら恥ずかしいとは思うけれど(笑)、当時は久しぶりに自分の作品で鳥肌がたったというか。
ふ:ほおおお。
リ:それが始めたきっかけでした。
ふ:なるほど〜。
リ:目指すきっかけは…向いてるのかもなあと思ったことが大きいんですけど、自分の目標や夢を持つところまでなったのが意外と昨年の1月とか。
ふ:じゃあ今は目標があるんだ!何か設定しているところがあるの?
リ:そう、設定していて。グラミー賞かカンヌ国際映画祭で賞をとって、世界で一番というのをどこかで一回とりたいなと思っていて。世界一になるっていうのが目標というよりは、世界一になった時の発言力を得ることが目標です。
ふ:!
リ:それを得た上で発言する言葉で、日本のクリエイティブを少しでも良くできればいいなと。自分たちがやりやすくできればいいなって。
ふ:なるほどね。
リ:ですです。若い子たちとかがもっと面白いことをやれる環境があればいいなと。言ってしまえば国がもっとお金出せればいいのになとか。しがらみなくできるような世界にするには、自分の発言力は必要だなってところで。
ふ:素晴らしいね…!
か:世界一になる人と今しゃべってるんだ…!
◆「実はあれを考え付いたのが…。」
ふ:そしたら次なに聞こうかなぁ。
リ:もうなんでも聞いてください(笑)。
ふ:(笑)。そしたら本編の方にいきましょう!この楽曲をリチャくんに聴いてもらって、後から伝えたテーマとして「曖昧なもの」と「別の出会い方・関わり方を望む想い」という面を私から言葉で伝えて。わりとそれを軸に今回物語を考えてくれていたと思うのですけれど。実際脚本を書くにあたって、どういう風に筋道をたてて肉付けしていったのだろう?
リ:実は「かもしれない」のMVは、ここ1年間で撮った作品の中でもトップ3くらい悩んだ楽曲で(笑)。
ふ:う!まあそうだよね、テーマが「曖昧」だもんね(笑)。
リ:これは裏話的な話なんですけど…。
ふ:お、いいねぇ。
リ:最初、構成的な部分の共有含め打ち合わせしましょうとなった時に、22時頃から始めたと思うんですけど。
ふ:うん、そうだったそうだった。
リ:今回の映像は「生まれ変わり」がテーマで、と自信満々にお話させて頂いたのですが(笑)、実はあれを考え付いたのが1時間前くらい。
ふ・か:へぇええ!
リ:しかもそれを思いついたのが、夢の中っていう(笑)。
ふ:そのエピソードすごい!
リ:当初の予定時間よりちょっと遅くなります、みたいな感じだったと思うんですけど。布団に転がって「やばい、打ち合わせに構成間に合わん…」ってなっていて、結構打ち合わせ前ドキドキして。
か:ふふ(笑)。
リ:もうこれは最後の手段だと。以前自分が撮ったMV作品でも、夢の中で草案ができたってこともあって。博打みたいな感じだし、これ結構最終手段でしか使わないんですけど。いわゆる「降りてくる待ち」ですから(笑)。
ふ:確かに(笑)。
リ:いつもよりスピーカーのボリュームを2, 3上げて。でもうっすら聴こえるみたいな、半分寝ている状態で聴いている時に、なんというか…。平尾台(福岡)で走っている車と二人組みが旅をしている様子が浮かんで、それが生まれ変わる間の世界っていうのが脳の中に流れ込んできて。これだ、書き出そう!となったのが打ち合わせ予定時刻1時間前(笑)。
ふ:なるほどね…!
か:すごいなぁ。
リ:人間は追い込まれるとこういうこともできるんだと(笑)。
ふ:そうして今回の素晴らしい映像に繋がったわけだね。
リ:なんならその時期ちょっとスランプだったりして。その夢の中で考えるのを頻繁にやってましたね(笑)。
ふ:それ最終手段てさっき言ってたよね?(笑)
リ:(笑)。具体的にどう夢の中でイメージが出来上がるのかという話なんですけど、曲が聴こえている状態で自分の心の言葉とかがそのまま映像として脳内にイメージとして出てくるんですよね。なんというか、開かれているんでしょうね。
ふ:深層の部分がね。
リ:ですね。まぁなので、実は今回苦労しましたね。
ふ:苦しみの中生まれた素晴らしい映像ということですね。ありがとうございます!
か:ありがとうございます!